ついに、ついに履くことができた。話題のあの靴。
というか、Twitterやブログで散々ナイキの厚底シューズを発端としたシューズ規制問題について偉そうに言っているくせに、まだ履いたこともなかったんかいという。
なぜ自分がこれまでナイキを履かなかったのか
今までナイキVFを履かなかった理由。それはただ単に、自分にはナイキのシューズは合わないからだ。
正確にいえば合わないと思っていたからだ、が正しいのかもしれない。
というのも、過去にナイキのシューズを履いたことがあり、その時期に怪我を頻発して、原因の1つとしてナイキのシューズが合わないと判断していた。実際、シューズを変えたのと怪我が減ったタイミングも一致した。ちなみに当時ナイキのどのシューズを履いていたのかは残念ながら分からない。
これは4年くらい前の話だが、それ以外にも1年くらい前に店頭でナイキのペガサスターボ(だったはず)を試着したとき、足の形があまりにも合わない感じがしたというのがある。足の側面がインソールの外に乗る感じがして、違和感が強かった。それ以来自分にはナイキは向いていないと判断していた。
そんな中昨今のナイキ厚底ブームが起こり、なんとなく自分も一度は履いて体験してみたいと思っていた。
ただ、自分にはナイキが合わない中、3万円もするシューズには到底手は出せない。いつか履くチャンスはないだろうかとおぼろげに考えていた…。
皇居ランのランステにて履くチャンス到来
そして先日、平日夕方早めの時間に都内に行く機会ができた。都内といえば皇居ラン。皇居ランといえばランステ。
待てよ、ランステではシューズレンタルができるところも多いと聞く。とすれば、ナイキVFネクスト%のレンタルをしているステーションがあるのではないか?と思い立つ。
調べるとあった。ラフィネランニングスタイルNeo店。
公式にはナイキVFがレンタルできるとは書かれていないが、色々な情報を照らし合わせるとどうやら取り扱っていそう。
ということで、平日16時頃に伺うと時間的に混雑前だったのもあり、利用客はそこまで多くなさそうだった。
そしてシューズレンタルの棚を見ると、期待通りあった。ナイキヴェイパーフライNEXT%
25.5cmがちょうど在庫ありで、試着してみるとサイズもぴったりだった(ちなみに自分は他のシューズも大体25.5cm)。
こちらのランステはビジター利用(会員登録無し)可能で、ランステ利用料が800円、レンタルシューズ料金が150円だった。なお、バスタオル等シューズ以外をレンタルすればシューズレンタルが無料なので、実際は150円のバスタオルレンタルをし、無料でシューズをレンタルすることができた。
ついにナイキVFネクスト%へ足を通す
着替えをすませ、ついにナイキVFに足を通す。
シュータンに皺が寄りやすく、少し履きにくく感じた。ただ、昔ペガサスターボで感じたシューズのフィット感への違和感はVFでは感じず、適切な履き心地だった。
そして履き、大地に二の足を踏みつけ歩いてみる。
「なんじゃこれは」
本当に最初に浮かんだ言葉はこれだった。
今まで履いてきたランニングシューズとは明らかに違う。自分自身ランニングシューズのクッション性とかの細かい違いには鈍感だと思っているが、これはさすがに違う。
本当に足の裏にバネがついている感じだった。特に歩いてみるとわかるが、歩いて地面に接地するたびに足の裏でバネが反発している感覚。思わずにやけてしまう。
本当にこれで走れるのか不安な部分もあったが、早速皇居に繰り出す。2kmほどアップをする。歩くとバネの感覚が非常に強かったが、走ってみるとそこまで変な感じはない。ちょっと厚底ゆえいつもより接地のタイミングがずれるような気もするが、走りが変になる感じもない。
ナイキVFで5kmのLT走を実施
2kmアップ後、スピードを出すとどうなんだろうと思い、5kmのLT走を実施。
ペースや体感のしんどさは通常のトレーニングとそこまで変わらない感じ。スピードを出してもそこまで違和感はなかったが、このスピードでピッチが181spmというのは自分にとっては少ないように感じた。実際に走っている感覚としても、跳ねる感じがあるのでピッチ走法よりストライド走法が向いているのかもしれない。
さすがに初めて履いて5km走るくらいではフォアフット走法への変化などは如実には感じられなかった。ただ、足裏全体でバネの感覚があるので、極端なヒールストライク走法には向いていないのかもしれない。ちなみに自分はヒールストライク寄りではある。
ナイキVFを体験してみて
初めてナイキVFを履いてみて、自分のシューズに対する概念は広がったように思う。こんな考え方のシューズもあるのか、という感じ。
やはり何といってもバネ感が普通のシューズとは明らかに違う。ただし、足裏にバネ感があるということは接地から足の力を伝え、反発する際に不安定さが生まれるということでもある。実際に足首を中心にイメージとしてグラつきそうな感じはあった。ナイキVFを履きこなせないと(履く人の能力によって?)、後半に足が動かなくなるという話も聞いたことがある。きっとそれはこの不安定さゆえに、後半足首の筋力が不足してくるとバネの力を適切に地面に伝え、うまく跳ねられなくなるからなのではないだろうかと思われる。
この不安定さは個人的には怪我のリスクも含んでいそうで心配なところ。適切に使えれば逆に足首のトレーニングにもなりそうだが。
それにしても、プロや学生で走っている選手はともかく、市民ランナーでも本当に多くの人がこのシューズを履いていることは正直なところ少し疑問である。これだけ感覚が違うシューズを本当に履いてパフォーマンスを引き出せているのかというのと、年に数本であろう勝負レースにこのシューズを買い、投入することが良いのか気になるところ。パフォーマンスを失いかねないこのシューズに自分だったら全幅の信頼をおけないなあと。仮にそうするとすればかなり履いて確かめたいし、そのためにはシューズのコストとして高すぎる。
履いている人を否定しているわけでは全くないが、何となくの気持ちで履いて良いシューズではないように感じた。
また、不思議なことにナイキVFを履いて走ってみて、走る楽しさみたいなものは感じなかった。これは今このシューズが取り巻く現状を知っているからというのもあるかもしれないが。
総括
以上、もう少しでサブスリーというレベルのランナーが今更ではあるが話題のナイキVFネクスト%を履いて感じたことをまとめる。
・履いて歩いたときのバネの感じは今までのシューズと明らかに違う。
・走ってみると今までのシューズとの違いや違和感はそこまで感じないが、跳ねる感じはややある。
・バネ感ゆえ、足首を中心とした安定感にややリスクがあるように思える。これをもろに食らうとフル後半で疲れてきたときに足首がフラフラになり辛いかもしれない。
・走っていて楽しい、という感じはなぜか感じなかった。
・自分にとって、勝負のフルマラソンで初投入するにはリスキーだし、かといって何回か練習やお試しフルマラソンで履くにはコストが高い。
・シューズはあくまで自分のパフォーマンスを最大限発揮するためのツールだと思っているので、自分は当分ナイキVFは導入しないかなと思った。
なんにせよ、話題のシューズがどれほどのものか実際に履いて体験できたのは非常に良かったし、履くだけのモノではあった。もしまだ履かれていない人がいたらチャンスを伺って履いてみることをおススメしたいシューズである。もちろん初心者であっても履いてみることは否定しないし、履いてみれば面白いのではないかと思う。