一部で良著と話題になっていたような気がするこの本。やっと読むことができた。
・この本の目次
第1章 忙しいけど「最短×故障ゼロ」で自己ベストを達成したい人へ(短時間で、最大の効果をあげる;いかに故障を防ぐか)
第2章 「最短で最大」の効果をあげるトレーニングメソッド(効率的なトレーニングの基本原則;ターゲットレースまでのスケジュール設定 ほか)
第3章 どうすれば「怪我・故障」を防げるのか(ランニング障害の基礎知識;故障を招く3要素「走路・フォーム・練習量」 ほか)
第4章 食事と睡眠(ランナーのための栄養学;練習中の携帯食と摂取タイミング ほか)
第5章 レース本番のマネジメント(レース前日&直前までの準備;スタート直後(~10km) ほか)
・全体の感想
僕はこれまでマラソンに関する本は結構読んできた。おそらく10冊は超えている。それをふまえて本書の感想を述べるなら「これまでの本と書いている内容はさほど変わらず、目新しい情報はなかった」ということ。逆に言えば、まだあまりマラソンの本を読んでいない人にとっては得られる情報は多いかもしれない。また、書いてある内容は自分としては正しいなと思える情報が多く、そういった意味ではおススメできる1冊である。
・各章ごとの感想
第1章 忙しいけど「最短×故障ゼロ」で自己ベストを達成したい人へ(短時間で、最大の効果をあげる;いかに故障を防ぐか)
ここはこの本の総説といえる部分。この本は主に「効率的な練習」「故障の防止」の2点を大きな軸として展開されている。それに対する概要が示されている。
市民ランナーは練習時間の確保が課題となるが、そのような場合の考え方も示されている。
第2章 「最短で最大」の効果をあげるトレーニングメソッド(効率的なトレーニングの基本原則;ターゲットレースまでのスケジュール設定 ほか)
トレーニングに関する原則やトレーニングメニューに関する筆者の考えが示されている。それと筋トレ、体幹トレーニングに関するノウハウも。
トレーニングに関する話は一般的なレベルであまり面白いと思わなかったが、筋トレや体幹トレーニングのところはさすが医者だけあって、興味深い内容も含まれていた。
肩甲骨を使って走ることが大事ということで、ここは自分も少し意識してみたいと思う。
第3章 どうすれば「怪我・故障」を防げるのか(ランニング障害の基礎知識;故障を招く3要素「走路・フォーム・練習量」 ほか)
ここはさすが専門なだけあって、本書で一番有益な部分かもしれないと思った。故障の種類や原因について解説されている。ただし、内容はそこまで深いものではないので、本当にここにフォーカスするのであれば、ランニング障害について書かれた専門書の方が良いと思う。
第4章 食事と睡眠(ランナーのための栄養学;練習中の携帯食と摂取タイミング ほか)
この章もびっくりするような話はなく、あくまで原則に基づいた話が中心。
「グリコーゲンが1g吸収されると、3gの水分を一緒に連れてくる」という話は初耳でなるほどと思った。これがカーボローディングで体重が増える原因なのだとか。あとグリセリンローディングという話もやや興味深かった。
第5章 レース本番のマネジメント(レース前日&直前までの準備;スタート直後(~10km) ほか)
この章は筆者の体験談などをベースにレースに向けたマネジメントが書かれている。「レース3週間前に結果は決まっている」は非常に共感。また、筆者はネガティブスプリット派であるということが分かった。
個人的にはこの章も特に大きな収穫はなかった。一般的な話が中心だと思う。
おまけ:川内優輝選手との特別対談
あまり対談感はなかった。インタビュアーの質問に対して筆者と川内選手が答える感じ。読む分には面白いが、おまけ要素レベルかなと思った。
・おわりに
というわけで、既に色々本を読んでいる自分としては、あまり得られるものはなく少し残念な内容ではあった。ただしこれは既に情報がある程度インプットされていることが前提だと思う。初心者やまだあまり情報を持っていないランナーにとっては有益な情報も多いと思うし、内容の信憑性や分かりやすさには優れている本だと感じた。
しばらくはこういった一般ランナーの本は読む必要は無いかなと今回感じた。インプットも大事だが、結局自分を速くしてくれるのは練習だと思う。